この日の演説・シュプレヒコール

「・・・歯舞・色丹・国後・択捉は言うに及ばず、南樺太、全千島列島はわが国固有の領土であります。・・・ロシアは、満洲、南樺太、千島列島に武力侵攻し、婦女子を含む39万の同胞を虐殺、あるいはシベリアに勾留し、過酷極まる強制労働に従事せしめ、多くの同胞を過労と飢えで死に至らしめたのであります。この主な事実は我々国民が決して忘れてはならない歴史ではありますが、時の経過の中で、記憶が薄れ、体験が風化しつつあるのが現実であります。今後の我が国の対応は国民の総意に基づく全千島列島および四島の一括返還であります。・・・」

「旧ソ連は、昭和2088日、・・・我が国に対し、国際法を無視し、その当時、まだ有効だった日ソ中立条約を一方的に破棄し、翌9日に、旧ソ連は、我が国に攻め入り、一方的に侵略をしたのであります。民間人・婦女子に対し、暴行、強姦、略奪、虐殺など、悪逆の限りを尽くし、その上、815日の、終戦を過ぎても、なお、3週間にもわたり、侵略行為を続けたのであります。旧ソ連は、我が国に、我が国固有の領土、北方領土を渡させたのであります。これは、・・・史上類を見ないものであります。旧ソ連の、我が国日本に対しての、暴挙であることは事実にあります。・・・」

「・・・(警察に向かって)あんたら守るもん間違っとるんちゃうか?・・・」

「・・・(警察に向かって)日本国民守らんでどうするんじゃ?(そうだ!)・・・」

「・・・(警察に向かって)ただの税金の無駄遣いやのー、やることもっといろいろあるのちゃいまんの?おまわりさん!(そうだそうだ!)」

「北方領土を返せーーー!!!(かえせーーー!!!)」

「政府は、北方領土奪還に、立ち上がれーーー!!!(たちあがれーーー!!!)」

「政府は、ロシアに対する、弱腰、屈辱外交を、止めろーーー!!!(やめろーーー!!!)」

 いかがでしたか。そして、どう思いましたか。

 「・・・歯舞・色丹・国後・択捉は言うに及ばず、南樺太、全千島列島はわが国固有の領土であります。」「北方領土を返せーーー!!!(かえせーーー!!!)」確かに北方四島は日本の領土かもしれませんが、現在のところ南樺太と北方四島以外の千島列島はサンフランシスコ講和条約で放棄しているため、取り戻すにはサンフランシスコ講和条約を破棄するか、全ての締結国と交渉したうえで、ロシアと交渉する必要があります(旧ソ連はサンフランシスコ講和条約に調印していないので)。北方領土の返還には長い時間がかかるでしょう。それまで友好を築き上げていくことはできます。日本最大の右翼民族派団体・日本青年社(尖閣諸島の魚釣島に灯台を建設した団体)のロシア訪問団が去年3月にロシアを訪問し、ロシアの政治家や財界関係者、そして学生たちと交流しましたが、そこには(記事を見る限り)建設的な雰囲気がありました。そのような活動の積み重ねが北方領土返還と日本とロシアの真の友好につながっていくのではないのでしょうか。ただ北方領土を返還せよ、と言ったところで返還されないのです。運動が無駄であるとは思いませんが、北方領土返還のためにはさまざま努力が必要ですし、その努力を惜しんではならないでしょう。

「・・・ロシアは、満洲、南樺太、千島列島に武力侵攻し、婦女子を含む39万の同胞を虐殺、あるいはシベリアに勾留し、過酷極まる強制労働に従事せしめ、多くの同胞を過労と飢えで死に至らしめたのであります。この主な事実は我々国民が決して忘れてはならない歴史ではありますが、時の経過の中で、記憶が薄れ、体験が風化しつつあるのが現実であります。」「旧ソ連は、昭和2088日、・・・我が国に対し、国際法を無視し、その当時、まだ有効だった日ソ中立条約を一方的に破棄し、翌9日に、旧ソ連は、我が国に攻め入り、一方的に侵略をしたのであります。民間人・婦女子に対し、暴行、強姦、略奪、虐殺など、悪逆の限りを尽くし、その上、815日の、終戦を過ぎても、なお、3週間にもわたり、侵略行為を続けたのであります。旧ソ連は、我が国に、我が国固有の領土、北方領土を渡させたのであります。これは、・・・史上類を見ないものであります。旧ソ連の、我が国日本に対しての、暴挙であることは事実にあります。・・・」確かにソ連の日ソ中立条約の一方的な破棄、ポツダム宣言受諾後の日本侵攻などは許されるべきではありませんし、シベリア抑留、中国残留孤児などの第二次世界大戦の記憶の風化は問題であり、歴史の記録として保存する必要があります。もちろんそれはソ連によるシベリア抑留などの戦争犯罪だけでなく、アメリカによる無差別爆撃・原爆投下、日本による南京大虐殺、シンガポールにおける華僑虐殺などについても同様です(これらの事項について日教組の偏向教育などと言い始めるのは論外です)。他国の戦争犯罪のみを追求して、自国の戦争犯罪には目をつぶるなどということが許されてはなりません。それは世界のどこかで再び同じ過ちが繰り返されないためにも必要なことです。

「(警察に向かって)あんたら守るもん間違っとるんちゃうか?」「(警察に向かって)日本国民守らんでどうするんじゃ?(そうだ!)」守るものは間違っていません。日本国民も守っています。逆に外国公館を警備せず外国公館へのテロ行為などの重大な結果をもたらしたとすれば、それは日本が世界の信頼を失うことになります。警察は、外国公館へのテロを警戒するとともに、イデオロギーとは何の関係もない一般大衆(大部分の日本国民)を守るためにいるのです。「国益」のために動く警察は「国益」のために手段を選ばなくなり、危険です。権力者によっては、「国益」のために弾圧されるのが右翼民族派の方になるかもしれません。

「・・・(警察に向かって)ただの税金の無駄遣いやのー、やることもっといろいろあるのちゃいまんの?おまわりさん!(そうだそうだ!)」上記より、警察が警備しているのは税金の無駄遣いではありません。そもそも「税金の無駄遣い」をさせているのは右翼民族派です。音量測定も、外国公館周辺の住民に対する騒音公害を減らすためです。右翼民族派の思想を弾圧するためではありません。

「政府は、北方領土奪還に、立ち上がれーーー!!!(たちあがれーーー!!!)」「政府は、ロシアに対する、弱腰、屈辱外交を、止めろーーー!!!(やめろーーー!!!)」政府は50年以上まえから立ち上がって、北方領土返還に向けて交渉しています。弱腰・屈辱外交はやめるべきですが、右翼民族派の言う、弱腰、屈辱外交とは何を指し、そうでない方法とは何なのでしょうか。

総じて見ると、過去に比べて、悲観的な内容になっているようにも聞こえます。アジア諸国との問題が大きく取り沙汰され、ロシアとの問題がどこか忘れられようとしている中、民族派としての悲痛の声なのかもしれません。また、警備している警察に抗議する場面も多くみられました。これは民主党・社会民主党が政権を掌握し、外交の態度が自民党政権よりも軟化する可能性があることへの危機感が右翼民族派の中に存在するものと思われます。しかし、どれほど右翼民族派が焦ろうとも、北方領土は返還されないのです。粘り強く北方領土返還に向けて交渉する必要があるでしょう。そして返還されないことにいら立たない忍耐強さも大切です。また、今回も北方領土が返還された後どうするのかについての内容はありませんでした。北方領土返還に導く過程も重要ですが、北方領土が返還されてからどうするかを考えるのはそれ以上に重要ではないでしょうか。返還されてから考えては遅いのです。返還されてから、北方領土の生活状況が悪化するようなことがあってはなりません。返還を島民に後悔させてはなりません。

参考:去年の反ロシアデー(反ロデー)の主張去年の北方領土の日の主張

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