この日の演説・シュプレヒコール

「・・・皆様、このような理不尽なことが許されていいのでしょうか。私は、日本国民として到底納得することができません。我が国が主権国家、独立国家としての威厳を保つためには、今一度、事なかれ主義、見せかけだけの友好関係を構築するよりは、対等な立場で、正々堂々と、対外交渉を行い、一旦、主権が侵された場合は、実力行使をも辞さないとの、強い態度で臨むべきではないのでしょうか。・・・我が国の、国民意識のあまりの低さにも、悲観せざるを得ません。・・・」

「入れてください。入れてください。用があるから入れてください。・・・」

「・・・日本の国益を守るんが警察の役目ちゃいまっか?・・・」

「かーえせ、返せ、竹島!!!(かーえせ、かえせ、たーけしま!!!)」

「たけーしま!!!(かーえーせ!!!)」

 いかがでしたか。そして、どう感じましたか。

 「我が国は、あくまで平和的手段により解決するとの基本方針に立ち、あらゆる機会をとらえて、粘り強く交渉を続けておりますが、いまだ、解決を見るに至っておりません。皆さん、このような理不尽なことが許されていいのでありましょうか。私は、日本国民として、到底納得することができません。」たしかに現在も韓国軍が駐留して実効支配していることは理不尽ですし、納得できないことはわかりますが、やはり平和的に交渉することが最良の手段と思われます。竹島問題には、朝鮮半島侵略の歴史問題など、さまざまな問題が複雑に絡み合っています。それらの誤解を一つ一つ解き、双方が合意できるような基盤を作る必要があります。すぐに解決することは不可能です。

 「我が国が、主権を持った独立国家としての威厳を保つためには、弱腰と、事なかれ主義、見せかけだけの友好関係を構築するよりは、対等な立場で正々堂々と対外交渉を行い、一旦、主権を侵された場合は、実力行使も辞さないとの、強い態度で臨むべきではないでしょうか。」確かに弱腰と事なかれ主義と見せかけだけの友好関係を構築するだけでは何の解決にもならないでしょう。韓国に対しても対等に正々堂々とした態度で交渉することが望まれます。しかし、たとえ領土を守るためとはいえ、実力行使は何としても避けなければなりません。実力行使とは韓国との戦争を意味すると考えてよいでしょう。その時に考えておかなければならないことは2つあります。1つは、戦争と言う事態になった時、アメリカは日本を助けてくれないということです。アメリカにとっては日本も韓国も共に同盟国です。同盟国同士で戦争を始めることをアメリカは望まないでしょう。2つ目は、韓国軍は北朝鮮の侵攻に備えるためにそんなに弱くはないということです。アメリカ軍がいなければほとんど何もできない日本の自衛隊は韓国軍にかなうのでしょうか。日本の首脳部に韓国と戦争をする決断ができるでしょうか。できるとは思えません。また、韓国軍に勝ったとしても、今度は北朝鮮の朝鮮人民軍も敵に回して戦わなければなりません(北朝鮮も竹島を朝鮮民族のものであると主張しています)。日本の自衛隊は韓国軍と北朝鮮の朝鮮人民軍をまとめて相手にして戦えるのでしょうか。戦力的には戦えたとしても、戦略的に戦えるわけがありません。「戦略的には」とは、日本が実力で竹島を奪還したとき、今度は韓国が「日本が竹島を武力で奪った」と主張するので、これでは現在と主張の立場が逆になるだけで、何の解決にもならない、ということです。

 「我が国の、国民意識のあまりの低さにも、悲観せざるを得ません。」右翼民族派のような方法で国民意識を示すかどうかは別として、政治問題に対して国民意識を高めることは重要です。無関心は停滞と怠惰をもたらします。このような場面に限らず、日常生活においても、いろいろなことに関心をもつことは重要です。私たち一人ひとりの関心が停滞や怠惰を破壊し、世界を変えていくのです。国民が広く関心を持つようになれば、この演説をしている人の悲観はなくなるでしょう。悲観を消すために努力していただきたいものです。

 「入れてください。入れてください。用があるから入れてください。・・・」それで入れてくれるのならわざわざ警備をしていません。右翼民族派が韓国領事館職員に対して何か危害を加えるかもしれないと考えているため、そしてイデオロギーとは何の関係もない一般市民を守るために警備しているのです。

 「日本の国益を守るんが警察の役目ちゃいまっか?」韓国領事館が襲撃されるという国際社会で日本の面子が潰れるような事態を防ぐということを以て、国益を守っているのではないでしょうか。そもそも、国益という言葉は恐ろしいものです。国益の内容は主張する人間によって違う意味を持ちうるからです。そして、国益の名のもとに全てが正当化されうるからです。右翼民族派も、特に現在において、為政者の主張する「国益」によって排除される可能性があります。安易に国益という言葉を使わないほうがよいでしょう。

「かーえせ、返せ、竹島!!!(かーえせ、かえせ、たーけしま!!!)」「たけーしま!!!(かーえーせ!!!)」韓国軍が竹島から撤退していただきたいのは私も同感です。撤退した上で協議しなければなりません。たとえ竹島が歴史的にも国際法的にも韓国の領土であっても、異議申し立てを認めずに韓国軍を駐留させているだけでは何の説得力もありません。しかし、一方的に竹島を返還せよと主張しても返還されないのです。

総じて見ると、去年より主張する内容に民族差別的な内容少なくなっているような印象を受けました(全ての主張を載せられず申し訳ありません)。一方で、警察の警備に反発することが多くなりました。それは、保守・右翼民族派の主張が後退する中で、より大衆に受け入れられやすい方法を取ろうとする一方で、自らの主張がなかなか受け入れられないことへの苛立ちを表しているのかもしれません。果たして彼らの主張が受け入れられていくのか、消えていくのか、見させていただきましょう。竹島の返還は私も希望するところです。困難で長い時間がかかろうとも、民族感情を日韓両国とも抑えて、粘り強く竹島問題解決への道を探っていかなければなりません。

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