この日の演説・シュプレヒコール

「・・・本日は、皆様もよくご存じの憲法記念日です。194753日に、現在の日本国憲法、別名占領憲法が施行されてから、今年で63年になります。・・・」

「・・・史実に基づいた、地域に基づいた、・・・本来あるべき姿を実現しなければなりません。憲法9条を始めとする、真の日本の在り方というものを、一体どのように考えているのか。良識ある国民の皆様であれば、本来あるべき日本の姿が、今、まやかしによって歪められつつある現実を、察知しているものと思います。・・・」

「・・・護憲集会を名乗った、亡国集会を開催しようとしているのです。日本国憲法を守っている、現在の日本は・・・日本の領土である、竹島は、韓国軍により、武力占領され続け、拉致同胞の救出もままならず、シナ人による、我が国大使館の襲撃に対しても抗議すらできず、領海侵犯を犯したシナ海軍の原潜を指をくわえて見ているしかないのです。まさに、現行憲法の「平和主義」なるものは、絵空事なのです。国防力を否定した、占領憲法を守っていたら、我が国及び、我が国民の生存と安全と、独立を保つことができないのです。その代わり、憲法違反の自衛隊が創設されているのです。・・・」

「警察は我々を音量規制で取り締まる前に他に何かやることがあるんじゃないですか(その通りだ)?我々の税金でね、飯食ってるわけですから。・・・反日左翼を取り締まるとか、あなたたちの仕事じゃないですか?」

「・・・経費の無駄遣いして。国賊やなほんとに。何ともならんな。・・・」

「占領軍のインチキ憲法は無効にせよーーー!!!(むこーにせよーーー!!!)」

「名古屋市公会堂は左翼護憲派に会場を、貸すなーーー!!!(かーすなーーー!!!)」

「左翼護憲派は即刻集会を、解散せよーーー!!!(かいさーんせよーーー!!!)」

「護憲集会を即刻、中止せよーーー!!!(ちゅーしーせよーーー!!!)」

「国賊護憲主義者は、ただちに日本から、出てけーーー(でーてけーーー!!!)」

「占領憲法を破棄し、自主独立憲法を制定するぞーーー!!!(せーてーするぞーーー!!!)」

「祖国独立を阻む、護憲主義者は国賊だーーー!!!(こーくぞくーだーーー!!!)」

「憲法改正―――!!!(けーんぽーかーいせい!!!)」

「護憲集会解散!!!それ!!!(ごーけんしゅーかいかーいーさん!!!)」

「日本政府は、植民地憲法たる日本国憲法の抜本的性を、断行せよ―――!!!(だんこーせよーーー!!!)」

「押しつけられた、アメリカ製亡国憲法を断乎改正せよーーー!!!(かいせーせよーーー!!!)」

「(前の車両が音量規制で止められた際に)・・・早よ行かせんかいボケーーー!!!」

いかがでしたでしょうか。そして、どう思いましたか。

「・・・史実に基づいた、地域に基づいた、・・・本来あるべき姿を実現しなければなりません。憲法9条を始めとする、真の日本の在り方というものを、一体どのように考えているのか。良識ある国民の皆様であれば、本来あるべき日本の姿が、今、まやかしによって歪められつつある現実を、察知しているものと思います。・・・」このようなことを言っている人は、「まやかしによって歪められ」ていないのでしょうか。そもそも彼らの思い描く「史実に基づいた、地域に基づいた、本来あるべき姿」とは何なのでしょうか。「良識ある国民」は、彼らと同じように考えているという保証はありません。「まやかしによって歪められ」ているのは彼らの方だという人がいるかもしれません。それでもその人の「良識」を疑いませんか。歪められているものは何なのか、見極めることは困難です。

「占領軍のインチキ憲法は無効にせよーーー!!!(むこーにせよーーー!!!)」「日本政府は、植民地憲法たる日本国憲法の抜本的改正を、断行せよ―――!!!(だんこーせよーーー!!!)」「押しつけられた、アメリカ製亡国憲法を断乎改正せよーーー!!!(かいせーせよーーー!!!)」憲法が正当かどうかはどうでもよいことです。60年間1度も憲法が改正されなかったことがその答えではないのでしょうか。国民が憲法に基づいて暮らして、何の不自由も感じていなければそれでよいのではないのでしょうか。植民地憲法、占領憲法であることが気になるのであれば、現在の憲法を認めるかどうかの国民投票はした方がよいかもしれません。

「護憲集会を名乗った、亡国集会を開催しようとしているのです。」「国賊護憲主義者は、ただちに日本から、出てけーーー(でーてけーーー!!!)」「祖国独立を阻む、護憲主義者は国賊だーーー!!!(こーくぞくーだーーー!!!)」護憲主義者や左翼を勝手に「国賊」呼ばわりしないほうがよいでしょう。それでは改憲を主張する人を頭ごなしに「右翼」と呼ぶ「左翼」と何も変わりません。「祖国独立を阻む国賊」は、左翼の方ではなく、右翼民族派の方にいる(そしてそれに気づかないだけ)かもしれません。

「日本国憲法を守っている、現在の日本は・・・日本の領土である、竹島は、韓国軍により、武力占領され続け、拉致同胞の救出もままならず、シナ人による、我が国大使館の襲撃に対しても抗議すらできず、領海侵犯を犯したシナ海軍の原潜を指をくわえて見ているしかないのです。まさに、現行憲法の「平和主義」なるものは、絵空事なのです。国防力を否定した、占領憲法を守っていたら、我が国及び、我が国民の生存と安全と、独立を保つことができないのです。その代わり、憲法違反の自衛隊が創設されているのです。」これらの事象の原因は日本国憲法を守っていることですか。竹島の武力占領は続いています。拉致被害者の救出も進んでいません。中国海軍の原子力潜水艦も監視しているだけでした。しかし、2005年の中国の反日デモに対して日本政府は抗議しています。そもそも、これらの問題は日本国憲法を改正して解決する問題なのでしょうか。憲法をどのように改正して、どのように解決するのかが全く分かりません。竹島を(どのような形であれ)武力を用いて奪還しても、日本と韓国の立場が逆転するだけで、何の解決にもなりません。憲法改正しさえすればよいということはあまりにも無責任です。戦後60年以上日本が他国との戦争状態を経験しなかったのはアメリカ軍によるものが大きかったかもしれませんが、冷戦も終わり、もう自衛隊だけでよいのではないのでしょうか。自衛隊の存在は最高裁判所の判決で合憲とされています。憲法違反ではありません。現行憲法の「平和主義」を「絵空事」という人間には、現行憲法の「平和主義」が「絵空事」になるような平和しか得ることができないのではないでしょうか。

「名古屋市公会堂は左翼護憲派に会場を、貸すなーーー!!!(かーすなーーー!!!)」「左翼護憲派は即刻集会を、解散せよーーー!!!(かいさーんせよーーー!!!)」「護憲集会解散!!!それ!!!(ごーけんしゅーかいかーいーさん!!!)」確かに改憲を主張する人たちを、警察権力を用いて護憲集会の締め出すのは民主主義、言論の自由に反するのですが、護憲主義者を一方的に「国賊」扱いして、集会をやめさせることもまた民主主義、言論の自由に反するのではないのでしょうか。言論の自由があるから護憲集会の粉砕を訴えることもできるのです。それにしても、護憲集会を開催するのは良いのですが、愛知憲法会議も護憲集会から右翼民族派を締め出すのを止めて、右翼民族派との討論会をすればなお良いのではないでしょうか(同じことは改憲集会にも言えます)。いつまでも右翼民族派を締め出していては、愛知憲法会議の護憲論が右翼民族派の改憲論に劣るものとみられてしまいます。初めから相手にしていないでは済まされないのです。討論をすることで、護憲論にも改憲論にも厚みが出ます。

「警察は我々を音量規制で取り締まる前に他に何かやることがあるんじゃないですか(その通りだ)?我々の税金でね、飯食ってるわけですから。・・・反日左翼を取り締まるとか、あなたたちの仕事じゃないですか?」「・・・経費の無駄遣いして。国賊やなほんとに。何ともならんな。・・・」確かに右翼民族派を音量規制で取り締まる他にも多くの仕事が警察にはあります。しかし、左右両極の衝突に、イデオロギーに無関係な市民を巻き込まないようにすることも警察の大切な仕事です。当然経費も無駄ではありません。「反日左翼」も、ある意味では、「この国のため、国民のために」活動しているのです。頭ごなしに「反日」などと呼ぶことはできません。

私は、この1年で訳あって全日本愛国者団体会議が1962年に採択した「大日本皇国憲法草案」を読む機会がありました。ここでその内容を書いてよいのかわからないため具体的な内容(概ね現行憲法と大日本帝国憲法、そして北一輝の「日本国家改造法案大綱」を基にしています)には触れませんが、私にとってはあまり好ましくない内容があった一方で、とても素晴らしいと思える内容もありました。私は現在の憲法を一文字も変えてはならないと思っているわけではありません。国民の大多数が憲法改正の必要性を叫ぶときに、現行憲法や様々なアイデアを突き合わせて、全ての国民が納得できるような憲法を作成できればよいでしょう。

今回の運動は、警察と衝突する回数も多く、去年民主党首班の政権が誕生し、日本国憲法9条を含めた憲法改正の機運減退が加速する中での右翼民族派の焦りと苛立ちが感じられました。右翼民族派の主張が今後どこへ向かって行くのか、興味深いところです。

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