この日の演説・シュプレヒコール

「・・・今の日本国を背負っておられる年齢層の方々、また、これから日本国を背負っておられる年齢層の若者たち、・・・今、真の北方領土返還に対して、私たちとともに、北方領土奪還の声をあげようではありませんか(そうだそうだ)。北方領土は、我が国日本国・・・私たち国民の責務であるとともに、先祖に報いる、北の島々、国後、択捉、歯舞、色丹はもとより、南樺太、全千島列島の全ての返還なしに、ロシアとの真の友好はありえないのであります。」

「大阪府民の皆様、毎年この日になると大変お騒がせすることになりますことをしばらくのご清聴よろしく申し上げます。泥棒国家ロシアが遂に正体を現してきました。日本に勝ったことのないロシア国家が、92日を対日戦勝記念日とするとのことであるが、火事場泥棒的精神だけ先走りしているようであります。北方領土を不法に占拠し、侵略行為を正当化しようということなら、国際法までもを無視するとともに、ロシア政府の実態を証明するものであります。・・・」

「・・・しかし、北方領土は、政府の主張する、北方四島だけではありません。・・・南樺太、・・・千島列島を北方領土と総称すべきであり、これらの島々は、われらの祖父が築いた、大切な大切な、我が国の領土であります。昭和2089日、大東亜戦争の末期、当時有効だった日ソ中立条約を一方的に破棄した旧ソ連は、兵員157万の圧倒的戦力を動員して、我が国に参戦してきたのであります。・・・千島列島および南樺太は、ロシアに占領されております。先日、択捉島でロシア政府は、大規模な軍事演習を行い、北方領土の実効支配を続けています。・・・」

「・・・駅前の自転車並べとけ!!税金を無駄に使うな!!・・・」

「日本民族の怒りを込めて、ロシアは、南樺太、全千島、北方領土を返せーーー!!!(かえせーーー!!!)」

「ロシアは、日本から出ていけーーー!!!(でてけーーー!!!)」

「ロシア領事館は、日本から出ていけーーー!!!(でてけーーー!!!)」

「極悪非道の独裁者、メドヴェージェフの手先、ロシア領事館を、この大阪からたたきだせ―――!!!(たーだきだせーーー!!!)」

「我が国固有の領土、北方領土を不当に占拠する、侵略国家ロシアを叩き潰せーーー!!!(たーたきつぶせーーー!!!)」

「ロシアは抑留者に対し、謝罪せよーーー!!!(しゃーざいせよーーー!!!)」

「でーてけでてけ!!!(ロスケはでてけ!!!)」

「ロシアは日ソ中立条約を破棄したことを、謝罪せよーーー!!!(しゃーざいせよーーー!!!)」

「国際法を無視し、不法占拠し続ける、鬼畜ロシア人は、日本固有の領土から、即刻、出ていけーーー!!!(でーてけーーー!!!)」

いかがでしたか。そして、どう思いましたか。

「北方領土は、我が国日本国・・・私たち国民の責務であるとともに、先祖に報いる、北の島々、国後、択捉、歯舞、色丹はもとより、南樺太、全千島列島の全ての返還なしに、ロシアとの真の友好はありえないのであります。」「・・・しかし、北方領土は、政府の主張する、北方四島だけではありません。・・・南樺太、・・・千島列島を北方領土と総称すべきであり、これらの島々は、われらの祖父が築いた、大切な大切な、我が国の領土であります。昭和2089日、大東亜戦争の末期、当時有効だった日ソ中立条約を一方的に破棄した旧ソ連は、兵員157万の圧倒的戦力を動員して、我が国に参戦してきたのであります。」「日本民族の怒りを込めて、ロシアは、南樺太、全千島、北方領土を返せーーー!!!(かえせーーー!!!)」国際法的に見れば樺太と北方島以外の千島列島は1951年サンフランシスコ講和条約で領有権を放棄している(当時のソ連はこの条約に署名していません)ため、返還のためにはサンフランシスコ講和条約の破棄が必要になります。日本が国際法に則って領有権を主張できるのは(サンフランシスコ講和条約を破棄しないならば)北方四島だけです。北方領土が返還され、ロシアとの平和条約を結ぶには長い時間がかかるでしょう。それまで友好を築き上げていくことはできます。日本最大の右翼民族派団体・日本青年社(尖閣諸島の魚釣島に灯台を建設した団体)のロシア訪問団が去年3月にロシアを訪問し、ロシアの政治家や財界関係者、そして学生たちと交流しましたが、そこには(記事を見る限り)建設的な雰囲気がありました。そのような活動の積み重ねが北方領土返還と日本・ロシアの真の友好につながっていくのではないのでしょう。ただ北方領土を返還せよ、と言ったところで返還されないのです。運動が無駄であるとは思いませんが、北方領土返還のためにはさまざま努力が必要ですし、その努力を惜しんではならないはずです。

「泥棒国家ロシアが遂に正体を現してきました。日本に勝ったことのないロシア国家が、92日を対日戦勝記念日とするとのことであるが、火事場泥棒的精神だけ先走りしているようであります。」「我が国固有の領土、北方領土を不当に占拠する、侵略国家ロシアを叩き潰せーーー!!!(たーたきつぶせーーー!!!)」「でーてけでてけ!!!(ロスケはでてけ!!!)」「国際法を無視し、不法占拠し続ける、鬼畜ロシア人は、日本固有の領土から、即刻、出ていけーーー!!!(でーてけーーー!!!)」ロシア(ソ連)は最終的に日本に宣戦布告をし、連合国側として第二次世界大戦の終結を迎えたのですから、一応戦勝国ということになります。ロシアを叩き潰せるものならば叩き潰してみてください。逆にあなた方が叩き潰されるだけですから。ロシアを一方的に「火事場泥棒」「侵略国家」「鬼畜」などと罵倒したところで、ロシア側の心証を悪くするだけで、北方領土返還は進みません。この演説は低俗なプロパガンダでしかなく、何ら正当性を持ちません。また、北方領土に住んでいるロシア人に対して憎悪をぶつけたところで、ロシア人側は不快感を持たれるだけの、ただの人種差別にしかなりえません。北方領土が返還されれば、占領前まで北方領土に住んでいた日本人が帰還して、現在北方領土に住んでいるロシア人たちは生活を奪われてしまうのでしょうか。北方領土のロシア人たちの生活にロシア政府が責任を持つのでしょうか。ロシア人を退去させるならば、その後のロシア人の生活の保障を日本政府はロシア政府に要求しなければなりません。理想としては、ロシア人と日本人が共存することなのですが。

「北方領土を不法に占拠し、侵略行為を正当化しようということなら、国際法までもを無視するとともに、ロシア政府の実態を証明するものであります。・・・」「ロシアは抑留者に対し、謝罪せよーーー!!!(しゃーざいせよーーー!!!)」「ロシアは日ソ中立条約を破棄したことを、謝罪せよーーー!!!(しゃーざいせよーーー!!!)」確かにそうなのですが、日本が太平洋戦争(大東亜戦争)について同じことをアジア諸国に言われているのではありませんか。太平洋戦争末期においてソ連の対日参戦は北方領土の占領やシベリア抑留、中国残留孤児など筆舌に尽くしがたい問題を引き起こし、決してその記憶が消えることはありません。しかし、それは日本が太平洋戦争において行ったことについても同様です。日本政府もロシア政府そして他の連合国も、戦争犯罪について完全なる謝罪と補償をすべきです。

「・・・千島列島および南樺太は、ロシアに占領されております。先日、択捉島でロシア政府は、大規模な軍事演習を行い、北方領土の実効支配を続けています。・・・」ロシアによる北方領土での軍事演習は許されるものではありません。その問題については日本政府が毅然とした対応をすべきでしょう。しかし、だからと言って日本の国防力を強化しても大した意味を持たないでしょうが。

「・・・駅前の自転車並べとけ!!税金を無駄に使うな!!・・・」警察が税金を無駄に使っているとは思えませんが、対右翼・左翼警備関係の予算を「事業仕分け」にかけて、担当者がどのようなことを言うのかは聞いてみたいものです。警察は日本国民を守っています。逆に外国公館を警備せず外国公館へのテロ行為などの重大な結果をもたらしたとすれば、それは日本が世界の信頼を失う結果になります。警察は、外国公館へのテロなどを警戒するとともに、イデオロギーとは何の関係もない一般大衆(大部分の日本国民)を守るためにいるのです。そもそも警察を動員させて「税金の無駄遣い」をさせているのは右翼民族派です。音量測定も、外国公館周辺の住民に対する騒音公害を減らすためです。右翼民族派の思想を弾圧するためにしているではありません。

「極悪非道の独裁者、メドヴェージェフの手先、ロシア領事館を、この大阪からたたきだせ―――!!!(たーだきだせーーー!!!)」メドヴェージェフ大統領自身も、プーチン首相(前大統領)の手先といわれていますが。ロシア領事館・大使館をロシアに帰らせて、ロシアとの接点がなくなったとき、ロシアとの問題をどのように話し合うのでしょうか。ロシアとの接点がなくなれば、それだけ北方領土返還に向けた交渉などがしにくくなり、解決がますます遠ざかります。それは日本にとってもマイナスとなるはずです。

総じて見ると、北方領土を取り戻したいと考えるあまり、ロシアと日本政府への攻撃になってしまっているように見受けられます(現在の日本政府を「極左革命政権」として攻撃するような内容もありました)。そのようなことをしてもロシアの態度を硬化させるだけで北方領土は返還されないのです。北方領土は日本の領土であり、日本に返還してもらいたいものです。しかしそれはロシア(ソ連)が日露戦争で南樺太という領土を日本に奪われて、屈辱の末に手に入れた領土でもあるのです。ロシアはそう簡単に手放す気にはならないでしょう。北方領土の返還には粘り強い双方の対話と長い時間が不可欠でしょう。そして返還されないことへの辛抱強さも必要です。ただ返還だけを主張しても解決しません。また、今回も北方領土が返還された後どうするのかについての内容はありませんでした(ロシア人は出ていけというのが答えなのかもしれませんが)。北方領土返還に導く過程も重要ですが、北方領土が返還されてからどうするかを考えるのはそれ以上に重要ではないでしょうか。返還されてから考えては遅いのです。返還されてから、北方領土の生活状況が悪化するようなことがあってはなりません。返還を島民に後悔させてはなりません。

参考:今年の北方領土の日の主張去年の反ロシアデー(反ロデー)の主張去年の北方領土の日の主張

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