イスラエル軍、ガザ侵攻

200812月から、イスラエル軍が経済封鎖により困窮していたパレスチナ自治区・ガザを空爆し、1月に入り地上から侵攻しています。アラブ人非戦闘員の死者は700人(2009112日現在)を超え、イスラエル軍は国連安全保障理事会の提示した停戦案を拒否し、なお攻撃を続けています。また、国連や、世界各地の人権団体によって、一部の人が非人道的であると主張する白燐弾の使用や、非戦闘員を建物に集めて砲撃によりまとめて殺害したりするなどのイスラエル軍による残虐行為も報告されています。しかし、長年イスラエルを支援してきたアメリカ政府がイスラエルを擁護し、国際社会の行動に対し消極的でいるため、国際社会は抜本的な対処ができずにいます。強硬な世論に押されたイスラエルのオルメルト内閣も、報復意識をもつパレスチナ自治区のハマスも和平交渉にそう簡単に応じられないところもあるようです。

 また、中東やイスラム諸国のみならず、パリやロンドン、そしてニューヨークなど、世界中でイスラエルの軍事行動に対する抗議活動が行われています。抗議のデモ隊が警察と衝突し逮捕者が出ている活動も少なくありません。

 1948年にイスラエルが「約束された地」カナンに建国されて以来繰り返されてきた歴史が再び繰り返されています。今回のガザ地区侵攻に限らず度重なるイスラエルの軍事行動は許されるものではありません。しかし、イスラエル国民の視点に立てば、自分たちを自治区からロケット弾で攻撃し同胞を殺害しているアラブ人(ハマスの責任にとどまりません)こそ許されるものではないのでしょう。お互いが反目しているこの状況では、恒久的な解決は少なくとも一方の(双方ともに、もあり得ます)民族の絶滅しかありません。誰もそのような結果は望んでいないでしょう。どちらもが、戦闘を停止した上で、和平交渉をするしかありません。それが現状では困難であることは私に限らず誰もがわかっているでしょうが、双方の安寧のためにはそれしかありません。1920年代まではユダヤ人とアラブ人はカナンの地で共存していたのです(イギリスの植民地でしたが)。現代においてなぜできないのでしょうか。

いずれにせよ、このまま報復の連鎖が続くのならば、イスラエルのユダヤ人もパレスチナ自治区のアラブ人も永遠に消すことのできない罪を背負うこととなるでしょう。

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