参議院選挙の結果をとらえて

 711日、第11回参議院通常選挙が行われました。その結果、改選分121議席のうち、与党民主党44議席、野党自由民主党51議席、みんなの党10議席、公明党9議席、共産党3議席、社民党2議席、たちあがれ日本1議席、新党改革1議席となりました。与党国民新党は改選議席を失いました。これにより与党は合計109議席と、かろうじて最大勢力となりましたが、過半数を取れず、政局は混迷を迎えることが必至になっています。

 今回の参議院選挙は民主党の政権掌握後初の国政選挙となりました。鳩山由紀夫内閣から今までの民主党政権の運営が評価される場となりました。予算の無駄の削減、アメリカ軍普天間基地の国外移転などの政策がことごとく失敗に終わり、さらに菅直人総理大臣が選挙公示前に突然消費税の増税について言及したため、民主党に対して不信感が募り、行き場を失った有権者の票が自民党、そしてみんなの党へと流れて行ったようです。

 消費税の増税について菅総理大臣が言及した時、各種世論調査では賛成の人が少なくありませんでした。しかし、菅総理大臣が消費税について党派を超えた議論を呼びかけたにもかかわらず、いざ討論となると他の党の代表が自分に質問することに吊るしあげと言ったりするなど、他人を混乱させる発言が目立ちました。消費税率を自民党にならって10%としたことが自民党から「盗作」と非難されました。自民党は自らの政策が与党に認められたのならそれで喜ぶべきではないのかとも思えますが。

 私は、今回の選挙は民主党と自民党が均衡するのではないかと考えていました。したがって、今回の自民党の大勝には驚かされました。しかし、有権者はかならずしも自民党やみんなの党の政策を支持して投票したわけではないでしょう。去年の衆議院総選挙で反自民党の票が民主党に流れたように、今回の選挙では反民主党の票が自民党・みんなの党に流れたに過ぎません。自民党・みんなの党はそれを認識すべきでしょう(ほとんど誰も、夫婦別姓や永住外国人の参政権を選挙の重要な争点だと思っていないでしょうから)。そのことを認識しておかなければ、自民党は再び議席を失うでしょう。

 いずれにせよ、これからの「ねじれ国会」、どのような議会運営がなされるか注意が必要です。野党時代の民主党がしていたことを自民党が真似し始めることは目に見えています。

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