参議院選挙告示

 74日、参議院選挙が告示されました。これから721日まで、参議院議員の半数に当たる121の議席をめぐる熱い選挙戦が行われます。前回の参議院選挙から今回までに民主党首班政権が崩壊し、自由民主党首班の安倍晋三内閣が誕生しました。一方、野党に転落した民主党にかつての勢いはもはやなく、民主党に見切りをつけた議員たちは次々と離党しています。また、小沢一郎衆議院議員が「日本未来の党」から分裂して「生活の党」を、橋本徹大阪市長と石原慎太郎元東京都知事が「日本維新の会」を結成しました。その他の政党の戦いの行方はどうなるのでしょうか。注目が集まります。

 また、今回の参議院選挙を前に、4月に公職選挙法が改正され、インターネットによる選挙運動に関する規制が一部緩和されました。これにより有権者はウェブサイトや電子メールを使った選挙運動を行えるようになりました。また、有権者はソーシャルメディアやウェブサイトに政党や候補者について意見を述べることができるようになりました。

 安倍晋三内閣は発足当初から「アベノミクス」と呼ばれる経済政策を押しすすめ、法人税の引き下げや円安にむけての政策を断行しました。その結果、円安は進行し、企業の株価は上昇しました。しかし、消費税は増税され、電気料金や生活必需品は値上げされるなど、国民全員が景気回復を実感できてはいません。その一方で、政治家個人の資質を疑いたくなる場面がありました。4月、靖国神社の春の例大祭において、閣僚が靖国神社を参拝し、安倍晋三総理大臣自身が真榊を奉納しました。それを批判された安倍晋三総理大臣が国会で「韓国は、では靖国について抗議して、抗議をし始めたのは一体いつなんですか。」「靖国神社に、御英霊に対して御冥福をお祈りをする、それについて批判をされることに対しては何も痛痒を感じずに、批判されたことに対してそれはおかしいと思われることが私はおかしいと思いますよ。」などと答弁したことに私は戦慄を覚えました。一国の総理大臣がインターネット上の掲示板で10年以上もコピーアンドペーストされ続けてきた怪文書に近い書き込みの内容を国会の場でそのまま答弁しているのです。彼は一度でも戦没者の慰霊という精神的行為が一宗教施設である靖国神社に参拝するという行動に集約されなければならない理由および合理性を自分で考えたことがあるのでしょうか。また、主権回復の日に際して、記念式典に際して、天皇皇后両陛下をご臨席させ、式の最後には出席者たちが万歳三唱を行うなどしました。彼らは天皇陛下がどのような思いで式典に参加されたのか虚心に顧みたことがあったのでしょうか。野党に関しても、橋本徹大阪市長が従軍慰安婦は必要であったという発言をし、全世界から批判を受け、元日本軍従軍慰安婦に対してではなくアメリカに対してのみ謝罪しました。橋本徹大阪市長の場合は自分が言っていることを理解しているのか自体を疑わざるを得ません。安倍内閣が発足してから、このような政治家による後先を全く考えない発言や行動が目立っていたように感じます。ソーシャルメディア上での政治家による批判合戦などもあり、政治家の「幼児化」が進行しているといって過言ではありません。具体的な策もなしに自国の主張をただ強硬に主張することが「毅然とした態度」ではありません。それはただの幼稚な国内向けアジテーションに過ぎません。そして何より、発言の意味を解釈するのは聞き手であり、発言者ではないことを理解していなければなりません。

今回の総選挙では「経済政策」と「憲法改正」が焦点とされていますが、そのほかにも依然として労働問題やエネルギー問題など解決すべきさまざまな問題が山積していることを忘れてはなりません。具体的にどの政党に投票すべきかをここで書くことは敢えてしませんが、次の選挙で日本の政治の行方を決めるのは主権者たる国民一人一人です。有権者の皆様はふるって参政権を行使なさいますようよろしくお願い申し上げます。

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