衆議院総選挙の結果を捉えて

1214日、衆議院総選挙の投票が行われ、自民党296議席、公明党35議席を獲得し、全議席の3分の2を手中に収めました。一方、民主党は11議席増えた73議席、共産党は13議席増えた21議席を獲得しました。他方、維新の党は19議席と議席を減らし、田母神俊雄代表率いる次世代の党は2議席と大幅に議席を減らしました。

安倍晋三内閣は国民の信任を得たとしています。議席の数だけを見れば国民は安倍内閣を承認したといえます。しかし、自民党の議席がわずかに減っていることを考えると、全面的に信頼されているとは言えません。今回の投票率は52%と戦後最低を更新していることからもそれが裏付けられます。信頼を得たとしている安倍内閣は憲法改正に邁進していくとしていますが、国民は憲法改正を望んで自民党に票を入れたのでしょうか。憲法改正より先にすべきことはたくさんあるはずです。それ以前に、不要な憲法改正の必要性を説くために対外的な脅威を煽り立てたのはほかならぬ安倍内閣です。安倍総理大臣と似たような思想を持った集団である次世代の党が大幅に議席を減らしたことからも決して「保守」に直結する政策が支持を集めたわけではないといえます。

野党にしても、議席を増やしたのは与党の議席を奪い取ったわけではなく、野党同士で議席を奪い合ったにすぎません。今回野党が議席を増やしたのは公約を支持するなどの積極的な理由よりも他に票を入れる政党がないから仕方なく投票したといった消極的な理由によると思えます。実際に、民主党の海江田万里代表が今回の選挙で落選し、新たに代表選挙が行われることとなりました。与党の議席数にほとんど変化がなかったことが有権者にとっての選択肢の少なさを裏付けています。議席の増加に慢心せず次の総選挙までに目立った活動をしなければ再び議席を失うでしょう。

いずれにせよ、衆議院での与党議席過半数が維持された今、あらゆる政策が正念場を迎えます。安倍内閣は目下の経済、労働問題などの国民の生活に直接関わる問題を優先して解決すべきでしょう。もしイデオロギーむき出しであらゆる問題を解決しようとすれば、それはやがて決定的な破滅を日本にもたらすでしょう。国民は国家権力の暴走を監視し、それを食い止めることができるのです。国民は国家権力に支配されるだけの無垢な子供ではありません。国家の主権者なのです。

戻る

inserted by FC2 system