衆議院の解散・総選挙を捉えて

  928日、衆議院が解散され、1010日に第48回衆議院総選挙が告示されました。これにより全国で選挙運動が始まります。各政党・各候補による選挙運動は投票日前日の1021日まで続き、翌22日に投開票が行われます。

 前回の参議院選挙以降、10年以上に亘って法案提出と廃案が繰り返されてきた共謀罪が組織犯罪処罰法の改正という形で遂に成立しました。そして2020年までに改正憲法を施行するという、憲法改正への具体的な道程が示されました。一方で安倍晋三総理大臣や昭恵夫人に関わりの深い人物や団体に対して、政府ぐるみで用地取得や学部の設置許可の便宜を働いた森友学園問題や加計学園問題などが噴出しました。森友学園問題では国や大阪府からの補助金を不正取得した詐欺容疑で籠池泰典夫妻を逮捕することで強引に幕引きを図ろうとしていますが、縁故政治、利権政治の横行が表面化しています。また南スーダンでのPKO活動に従事していた陸上自衛隊の日報の所在が二転三転した問題では、今年8月に当時の稲田朋美防衛大臣が辞任しました。こうした数々の疑惑に対して、政府や自民党からの釈明および全容の解明が進んでいるとは言えない状況が続いています。

これほどまでに与党が危機に瀕しているにも拘わらず、野党の混乱は前回の総選挙以上に激しさを増しています。今年7月、小池百合子東京都知事率いる都民ファーストの会が東京都議会選挙において議席を大幅に増やしました。その勢いに乗じてか、926日に結成された「希望の党」の代表となりました。一方都議会選挙で議席を減らした民進党では蓮舫代表が辞任し、後任に前原誠司衆議院議員が就任しました。前原代表は民進党を希望の党に合流させる方針を打ち出し、自由党もこの流れに乗ろうとしています。しかし、希望の党は公認するにあたって、憲法改正や安保法制への賛成などを条件として候補者を選別し、排除する姿勢を明らかにしました。希望の党からはじき出された民進党議員の一部は「立憲民主党」を結成し、枝野幸男衆議院議員が代表に就任しました。共産党は野党共闘を縮小し、立憲民主党や社民党と共闘することとなりました。

 北朝鮮のミサイル発射や核実験を繰り返し、東アジアにおける緊張が高まっている最中に、解散総選挙を敢行した自民党安倍政権の行動をどう見るべきでしょうか。安倍政権はJアラートなどを駆使して北朝鮮の危機を煽っておきながら、実はこれを大した危機と認識していないということなのでしょうか。噴出した数々の疑惑を臨時国会で追及されるのを避けるため、そして野党がまとまらないうちに総選挙を行って議席を抑えたいという自民党安倍政権の意図を感じます。その一方で、今回の解散総選挙に際して右往左往する野党(ことに民進党)の国会議員たちには幻滅させられます。自民党安倍内閣を打倒するには解散総選挙は避けて通れぬ道です。にもかかわらず突然解散すると「解散の大義がない」と言い始めるのはおかしな話です。政府が解散総選挙を打つならば自らに有利になるような条件で行うに決まっていることを読めなかったのでしょうか。

東京都議会選挙の最中、JR秋葉原駅において安倍総理大臣が演説に立った際、聴衆からの「安倍辞めろ」という叫びに安倍総理大臣は「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と言い放ちました。勝ち負けの問題ではなく、その「こんな人たち」も、まぎれもなく国家が守るべき国民であることを安倍総理大臣は理解していないようです。このような総理大臣をいつまでも信任していてよいでしょうか。具体的にどの政党に投票すべきかをここで書くことはここではしませんが、次の選挙で政治の行方を決めるのは有権者、ひいては国民一人一人です。有権者の皆様におきましてはふるって参政権を行使なさいますようよろしくお願い申し上げます。

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