天皇陛下即位20周年

 20091112日、今上天皇陛下と美智子皇后陛下が即位20年を迎え、奉祝行事が政府主催で東京の国立劇場において行われました。同日、皇居前広場でも天皇陛下御即位二十年奉祝委員会が主催して国民祭典が行われました。そこでは各界の関係者が祝辞を述べ、人気音楽グループ「EXILE」が奉祝曲を披露し、話題を呼びました。また、全国各地で日本会議などの保守系団体や右翼民族派などが主催して奉祝活動を行いました。一方、左翼団体はこれに反対すると同時に天皇制の存続に反対する運動を行いました。そして、天皇陛下は1223日で20回目の天皇誕生日を迎え、76歳になります。

 198916日、昭和天皇が87歳で亡くなり、今上天皇陛下の時代(すなわち平成時代)が始まりました。時代は冷戦末期、世界が激動の時代を迎えようとしていました。同年6月、アメリカのジョージ・ブッシュ大統領とソ連のミハイル・ゴルバチョフ書記長がマルタ島で会談し、冷戦の終結が宣言されました。この年、ドイツでベルリンの壁が崩壊し、ポーランド・ルーマニアなど東ヨーロッパ諸国の社会主義政権が次々と崩壊し、中国で天安門事件が起こりました。19901112日、即位の礼が行われ、天皇陛下と美智子皇后陛下が即位しました。その後、世界では1991年のソ連崩壊や2001年のアメリカ同時多発テロなど、大きく世界は動きました。日本国内も大きく変わりました。55年体制の崩壊、1993年と2009年の自民党政権崩壊など大きく動きました。その中で皇室は存在し続けたのです。

 2669年(神話上)存在し続けた皇室は確かにすばらしい部分もあるでしょう。しかし、天皇制も素晴らしい部分のみではありません。天皇の名の下、古くは東北の土着民を征服し(神武天皇の東征も本来はそのような内容でしょう)、近代では十五年戦争を戦いました。天皇制には血塗られた歴史も存在するのです。日本の皇室とは、素晴らしいもの、血塗られたものを全て含めて、日本国憲法に謳われているような「日本国の象徴」「日本国民統合の象徴」であるのではないのでしょうか。

 私は皇室に対して諸外国との親善のような外交面で大きな期待を持っています(中国などにも外遊すればよいのですが・・・)。したがって私は皇室の存続には反対しません。2669年(神話上)の皇室の歴史は恐らくこれからも続いていくでしょう。第二次世界大戦後、天皇の神格が否定されてから63年が経過し、皇室は国民にとってアイドルのようなとても親しみやすいものとなりました。同時にそれはプライバシーや皇室関係者のストレスなど新たな問題も生み出しています。果たして皇室とともに世界はどう変わっていくのか、そして皇室はどのように変わっていくのか、それはまだ誰にもわかりません。

 最後になりましたが、天皇皇后両陛下の御即位20周年を、この場を借りて心よりお祝い申し上げます。

戻る

inserted by FC2 system