崩壊する法治国家日本

 安倍晋三内閣の元で、次々と不祥事が明らかとなっています。今年32日、朝日新聞が森友学園への決済文書を改竄したと報じたことがきっかけとなり、前代未聞の中央官庁による公文書改竄事件が発覚しました。その後、加計学園における口利き、存在しないとされていたイラクでの自衛隊日報の発見、財務事務次官による女性ジャーナリストへのセクハラ発言など、次々と問題が発覚しました。森友学園を巡る問題は327日に佐川宣寿前理財局長の証人喚問、加計学園を巡る問題は59日に柳瀬唯夫首相秘書官の参考人招致を行い、安倍総理大臣の関与を否定する証言を得たことをもって事態を収束させようとしていますが、とてもできそうにありません。連日不祥事の真相究明や安倍内閣の退陣を求める抗議活動が行われていますが、まだ足りないというところです。

 現在、日本では民主主義国家どころか法治国家として最低限の体裁すら崩壊しようとしています。「政治主導」の下で2014年に内閣人事局を設置して以来、総理大臣のために官僚たちが自らの意思で意に添うように行政をゆがめているのです。もちろん安倍総理大臣から直接指示があったとは思えません。恐喝をするときに直接「金を出せ」と言わず、自分から金を払うと言わせるのと同様です。しかし、自身の昇進のため、降格を避けるために、「忖度」をせざるを得ない状況に追い込まれているわけです。これだけの犯罪が明らかになったにもかかわらず、行政の最高責任機関である内閣が責任を果たさず、部下に責任をすべて押し付けようとする自民党安倍政権に怒りしか感じません。安倍総理大臣は発覚した不祥事に対し口先だけ謝罪をしましたが、1年前とまるで違うことを平然と言い放つ安倍総理大臣の言葉など何の意味も持ちません。自らへの追及を逃れるためにその場しのぎの嘘をつき、それが暴かれると再び言い訳を重ねる自民党の姿は見苦しいことこの上ありません。

 外交的にも米朝首脳会談が日本を置き去りにして決定されるなど、日本の立場は低下していく一方です。行政が公平公正に運用されない国を外国が信用するでしょうか。スキャンダルで火だるまの安倍総理大臣を外国の元首たちがまともに相手するでしょうか。公文書改竄については海外でも報道されています。外交で得点がほしい総理大臣の足元を見て外国の首脳たちが何を要求してくるかわかりませんし、無茶な要求を現在の安倍総理大臣は如才なく飲みかねません。安倍総理大臣は日米首脳会談を設定し、トランプ大統領に米朝首脳会談で拉致問題を取り上げるように伝えましたが、日本に課せられた鉄鋼・アルミニウムの関税撤廃は実現せず、日本政府が拉致問題に関して自国で何の手立ても打てないことを露呈しただけでした。また、朝鮮半島の南北首脳会談も日本を置き去りにして決定され、427日には休戦状態にある朝鮮戦争の終結について協議していくことが宣言されました。まだ予断を許せる状況ではありませんが、日本人の拉致問題が置き去りのまま自体が進もうとしています。拉致問題については北朝鮮の金正恩国務委員長に「なぜ直接言わないのか」と言われる始末です。

 国内政治を立て直すためにも、外交を円滑に進めるためにも一刻も早く安倍内閣には退陣してもらうより他ありません。その上で「膿を出し切り」、国会運営、行政執行、外交交渉を行えばよいのです。安倍総理大臣を支持する街宣活動やデモ行進が行われていますが、もはや論理的に安倍総理大臣を擁護できず、「他になり手がいるか?」という話法しか取れなくなっていました。人はいるのに安倍晋三が総理大臣でなければならない理由がないなら安倍以外ならだれでもいいという答えもできます。無能な働き者より無能な怠け者の方がましです。

 一方で、野党もまた攻めあぐねています。518日にTPPが強行採決された際に、野党は茂木敏充経済再生担当大臣に対する不信任案を提出しましたが、なぜ直接内閣への不信任案を出さないのでしょうか。今からでも遅くはないので自民党安倍政権への追及だけでなく、解散総選挙への準備、支持を固めるべきです。与党が解散を打ち出してからでは遅いのです。世論調査で安倍内閣が未だ34割の支持率を保っている理由、未だに度の野党も自民党に支持率で勝てていないことを真剣に受け止めた方がよいでしょう。また籠池泰典氏や官僚を安易に応援するような言動は慎むべきです。彼らには彼らの思惑があり、野党や国民の味方では必ずしもありません。

 ここまでの諸々の発言を真に受けていたら、麻生太郎財務大臣は書類に署名と捺印した責任を「内容を読んでいない」という理由で取らない悪辣な上司、柳瀬首相秘書官は首相官邸で人と面会してもメモも取らず、業務内容を上司である総理大臣に報告しない無能な部下、安倍総理大臣は自分の部下である秘書官の業務も把握できない無能な上司になってしまいます。いずれも公務員どころか社会で働く人間としての資質を疑われます。自分がそう認識されて悔しくないのでしょうか。与党を支持するか野党を支持するかどうかの問題ではすでにありません。野党の国会議員が審議拒否をせず、国会に出席したとして公正な議論をする環境が崩れているのです。まず安倍晋三内閣を一刻も早く退陣させ、行政府と立法府の膿を出し切り、法の支配を回復しなければなりません。

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