民主党首班政権崩壊・自由民主党政権誕生

 衆議院総選挙が1216日に行われ、自由民主党(自民党)が294議席を獲得し、単独過半数を固めました。みんなの党は18議席と議席が倍増し、解散前は11議席であった日本維新の会は54議席と一躍第三党となりました。一方、民主党の獲得議席は57議席と解散以前の議席の7割を失い、政権から転落することになりました。日本未来の党も解散前に比べて大幅に議席を減らし9議席となりました。共産党と社民党はそれぞれ8議席、2議席と議席を減らしました。これにより、わずか3年で自民党が政権の座に復帰することとなりました。自民党は公明党と連立するようです。そして、民主党の野田佳彦代表は辞任を表明し、次期代表選挙をめぐって混乱が続いています。民主党とともに与党であった国民新党は解散することが決まりました。

 民主党が政権を獲得してから、転落の一途であったといえるのではないでしょうか。公約であった子ども手当、高速道路無料化は果たされず、公共事業の無駄をなくすという事業仕分けは期待通りの成果を上げられず、アメリカ軍普天間基地は紆余曲折の末元の辺野古への移転が決まりました。挙げ句の果てには消費税の増税法案を今年可決させました。また、領土問題は堰を切ったように再燃しました。2010年北方領土にメドヴェージェフ大統領(当時)が、今年竹島に李明博大統領(当時)が訪問し、実効支配をアピールしました。中国とは2010年の尖閣諸島沖漁船衝突事件から緊張が高まり、現在も緊張関係は続いています。また、東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所事故については、対応が後手にまわり、現在も事態は収集していません。被災地の復興も立ち遅れています。このように政権交代当初「何かが変わる」と期待を抱かれていたものが、「何も変わらなかった」ことが明らかとなるにつれて、様々な問題で失点を重ねるにつれて、期待が失望に変わっていった結果が今回の総選挙に現れたのではないでしょうか。

今回の総選挙は全体的に未来への期待ではなく、現在への絶望の結果であると考えられます。今回の総選挙の投票率が戦後最低であったことからもそのことが伺えます。また、民主党以外の政党があまりにも多く、小選挙区において自民党以外には反民主党の票が有効に反映されにくい状況でした。そのため、今回相対的に自民党が圧勝する結果となったと考えられます。実際、比例代表における自民党の得票は前回の総選挙より少ないのだそうです。つまり、今回の選挙は自民党への信頼ではなく、民主党への不信の結果であると考えるべきです。前回の総選挙が自民党への不信を示していたに過ぎなかったように、今回の選挙の結果もまた民主党への不信を示しているに過ぎません。さらに言えば政治全体への不信を示しているとすら見ることもできます。

自民党は政権交代を果たしてから、民主党に対抗するために、自主憲法制定や教育再生を掲げ、ますます右翼民族派団体に近づいていきました。もはやそこにかつて38年間政権を維持した保守政党の姿はありません。しかし、それでも日米同盟の堅持は変わりませんでした。「日本を、取り戻す」の主語は何なのでしょうか。日本の何を取り戻すというのでしょうか。

この33ヶ月に一体何の意味があったのでしょうか。その意味を考えながら、今後の政治動向をしっかりと監視しなくてはなりません。

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