サミットをとらえて

  625日から626日にかけて、サミット(主要国首脳会談)がカナダのムスコカで行われました。今回のサミットではG8(アメリカ、イギリス、イタリア、カナダ、ドイツ、日本、フランス、ロシア)に加えて、アジア、アフリカの国々などが、G20として参加しました。

 今回のサミットの議題は、いつものように環境問題、医療問題、発展途上国の貧困問題など、毎回議論されているようなもののほかに、今年3月の韓国軍艦沈没事件に対する朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への対応などが議論されました。内容としては、「途上国における国家主導の国家保健システムの強化を支援する」ために,「G8 は,今後5 年間の拠出のために、本日現在50 億ドルの追加的資金を動員することを約束する。」など、具体的な数値目標が掲げられていたところもありますが、今回のサミットの議長宣言でも「努力する」や「支持する」といった、参加国間の意見の対立をどうにかして取り繕ったことをにじませる曖昧な表現が目立ちました。これでサミットを行う意味はありますか。国連の総会の機会を増やした方が良いのではありませんか。

 今回のサミットでは、韓国軍艦沈没事件について、韓国の軍民合同調査団の調査結果を支持し、北朝鮮を非難しました。そして、北朝鮮に対して核兵器や長距離弾道ミサイルを放棄するように要請しています。そのことは当然でしょうが、その他の国々の核兵器や長距離弾道ミサイルについて触れていないので、北朝鮮は不満に思うでしょう。北朝鮮は韓国軍艦沈没事件について、「韓国とアメリカの捏造であるとして」であるとし、制裁が加えられれば、「即時に全面戦争を含む各種の強硬措置で応じる」としています。同じ時間帯に近くの海域でアメリカの潜水艦が沈没したという情報もあるそうです。実際のところ何が起こっているのかわかりませんが、朝鮮半島情勢は注意深く様子を見なければならないでしょう。仮に朝鮮戦争の休戦が破られることとなれば、日本も無関係ではいられません(その前にそのような事態を回避しなければなりません)。

 また、このサミットで日本は北朝鮮による日本人拉致問題を問題にしようとし、議長声明に内容を盛り込む成功しましたが、日本政府は国際社会の応援をもってして何をしたいのでしょうか。経済制裁であればそれはあまり意味をなさないでしょう。それは、北朝鮮とともに交渉のテーブルにつき、国交正常化を含めた関係諸国同士の利益を導くものでなければなりません(もちろん、北朝鮮による韓国人拉致問題も忘れてはなりません)。

 サミットは、参加国が増えるに従って、参加国同士の意見対立が大きくなり、冷戦時代の国連安全保障理事会のように硬直化しつつあります。サミットの意義の見直しが必要ではないでしょうか。

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