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太平洋戦争開戦 ―ニイタカヤマノボレ一二〇八―

 1941128日、日本海軍の戦闘機がハワイ・オアフ島のアメリカ海軍の基地を攻撃し、これを破壊しました。同日、日本陸軍が当時イギリス領であったマレー半島に上陸しました。これにより、太平洋戦争(大東亜戦争)が始まり、当時まだヨーロッパ周辺が主戦場であった第二次世界大戦は真の意味で全世界規模の戦争となりました。

 副題の「ニイタカヤマノボレ一二〇八」とは真珠湾攻撃の暗号指令です(奇襲攻撃成功の意味の「トラトラトラ」の方が有名かもしれませんが)。この攻撃に至る経緯は日革連の主張の歴史問題にほぼ書かれているため、ここでは書きませんが、この攻撃は日本にもアメリカにも一つの重大な出来事となったのは疑いようのない事実でしょう。しかし、アメリカ軍の主要な航空母艦はすでに出航しており真珠湾攻撃ではこれらを破壊できませんでした。これがのちに日本の運命を決定付けたともいわれています。

 そしてその禍根は今も残されています。200810月に田母神俊雄元航空幕僚長が投稿した論文のような、太平洋戦争はアジア解放のための戦い、或いはアメリカをはじめとする列強に追い詰められてやむをえず始めた戦争であったという論調が絶えません。ほとんどの右翼民族派団体は太平洋戦争を今でも「大東亜戦争」或いは「大東亜聖戦」と呼びこの日を聖戦の始まった日としています。そしてこの日の周辺に様々な活動を行います。

 確かに大東亜共栄圏という言葉だけをとれば、列強(先進国)だけに依存しない相互援助の成り立つ社会という意味で良いものでしょう。しかし、実際に日本がしたことは相互援助ではなく資源や文化の面で日本がアジアで覇権を握るためのものではなかったのでしょうか。アジア解放という点でも、第二次世界大戦の結果として日本も列強も疲弊し、植民地独立の機運が盛り上がったものと考えられないのでしょうか。

 田母神俊雄元航空幕僚長が書いたように、日本だけが侵略国家とされるのは確かにおかしなことでしょう。しかし、だから日本も侵略国家ではないということではなく、日本もヨーロッパの列強同様に侵略国家の一つに過ぎなかったと考えるのが適当であると思われます(他にも田母神元航空幕僚長の論文は第一次世界大戦における対中国21カ条の要求についての記述などよほど日本に対して良心的に解釈しないと成り立たない内容があふれています)。

 ここで関係のない話を書きますが、田母神元航空幕僚長の言動に対して管理人はシビリアン・コントロールの危機を感じました。村山談話が言論封殺の道具であるなどと主張するのは民主国家の自衛官として失格です。自衛官の職責からすれば自由な言論は存在しません。

日本において太平洋戦争をめぐる歴史論争が終わる日はいつ来るのでしょうか。その日が来た時、それが日本の再度の孤立を示すものとならないことを祈るばかりです。

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