参議院選挙告示

 622日、参議院選挙が告示されました。この日から710日の投票日まで、改選される参議院の121議席を巡って選挙戦が続きます。今回、野党側では国民民主党が野党共闘から離脱し、野党共闘に残っているはずの立憲民主党と共産党、れいわ新選組の間にも隙間風が吹いています。その一方、維新政党新風や新党くにもり、NHKから国民を守る党、日本第一党など保守や右翼とも言える政党が相次いで候補者を擁立しています。

 前回の参議院選挙から、新型コロナウイルスの流行が始まりました。繰り返す流行の中で、内閣が安倍晋三内閣、菅義偉内閣、そして岸田文雄内閣と移り変わりました。新型コロナウイルスの流行から2年以上たち、完全に終息したとは言えませんが徐々に元の日常を取り戻しつつあります。しかしコロナウイルス流行による消費の冷え込みとロシアへの経済制裁などに起因する資源価格の高騰、折から続く円安といった要因により物価が高騰し、国民生活を直撃しています。今回候補者を擁立する新興政党の多くがこの物価高騰や消費縮小に対して財政出動や消費税の引き下げなど、消費を刺激するような政策を押し出しているのは注目に値します。

今年2月、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、降ってわいたように国防と憲法改正についての議論が国内で噴出しています。岸田内閣は他の主要国と歩調を合わせてロシアへの制裁措置を課す一方、防衛費を拡充すると宣言していますが、核保有や各共有については否定しました。一方立憲民主党や共産党などの野党は改めて護憲を強調し、平和的な手段で紛争終結に努めるべきとしましたが、共産党の志位和夫委員長は有事の際に自衛隊の出動を容認することを言明しました(共産党は過去20年ほどこの立場です)。護憲の野党は現在極めて厳しい状況にあると言って過言ではありません。

今回の総選挙では先に挙げたトピックのほかにも解決すべきさまざまな問題が山積しています。具体的にどの政党に投票すべきかここでは明記しませんが、日本の政治の行方を決めるのは主権者たる国民一人一人です。「誰に投票しても変わらない」と現状の政治状況について絶望したくこともあるでしょうし、私も時にそのような思いにとらわれることがあります。しかし「何も変わらない」と考えて何もしないうちは何も変えられません。まして抗議の意味で投票に行かなかったり、意図的に無効票を投じたりする行動をとったところで権力に都合よく利用されるだけでしょう。ロシアのウクライナ侵攻以来、護憲の立場からは憲法9条が日本にロシアのプーチン大統領のような指導者が日本に現れるのを防いでいるということを言っていますが、それだけでは不十分で、やはり国民が不断に国家権力を監視し続けなければ国家を過ちをとめることができません。

今回投票したところで物事がすぐに何か変わるといったことはないかもしれません。しかし国を動かす根源は国民一人一人の力です。有権者の皆様はふるって参政権を行使なさいますようよろしくお願い申し上げます。

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