菅義偉内閣退陣

 93日、菅義偉内閣総理大臣が自民党総裁選挙不出馬と内閣総理大臣辞任を表明しました。当初内閣改造と自民党総裁選挙への出馬を表明していましたが、一転して不出馬の表明することとなりました。これにより菅義偉内閣は新型コロナウイルス対策など多くの問題を抱えたまま1年で退陣することとなりました。

20209月に歴代最長の内閣となった安倍内閣の後任として菅内閣が発足しましたが、政権運営は混迷を極めていました。日本学術会議の任命拒否など、当初から自らの意見にそぐわない意見を聞かない、議論を防ぐために何も説明しない体質に批判はありました。専門家会議の意見も聞き入れず、希望的観測にすがり続け、合理的な説明をしない政府の態度は後々の政策に対しても影響を与えていきました。新型コロナウイルスは今年だけでも何度も流行を繰り返し、いまだ流行終息を見せておりません。国民へのワクチン接種も供給量の不足と情報の錯綜によって遅々として進んでいません。乱発される緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置などで飲食業界など様々な業界が打撃を受ける一方で、一年延期された東京オリンピック・パラリンピックは敢行されました。国民の不信感からか発足当初6割以上あった菅内閣の支持率は3割にまで下がり、横浜市長選挙などの今年行われた数々の選挙で与党は連敗するようになっていきました。内閣改造でこの局面を切り抜けようとしていましたが、このままでは差し迫った衆議院総選挙で大敗するという党内の打算が最終的に菅内閣の命脈を絶ちました。菅総理大臣に対する労いの言葉などありません。

今月29日、事実上次の内閣総理大臣を決める自民党総裁選挙が行われます。17日に告示され、岸田文雄外務大臣、河野太郎行政・規制改革担当大臣、高市早苗参議院議員、野田聖子衆議院議員の4人が立候補しています。このうち岸田文雄外務大臣、河野太郎行政・規制改革担当大臣の2人は菅内閣の閣僚です。特に河野太郎大臣は自身のことを「ワクチンの運び屋」などと豪語しておきながらワクチン接種の現場を混乱させた張本人ですらあります。彼らは菅総理大臣とともに現状を作り上げた共犯者であることを忘れてはなりません。高市早苗参議院議員は安倍前総理大臣の支持を受けており、「極右」などと言われておりますが、そこに思想や哲学が伴っているのか甚だ疑問です。それ以外にも総裁選挙の陰に麻生元総理大臣、二階幹事長、不出馬を表明した石破茂衆議院議員などの人物の思惑が見え隠します。国民不在で党利党略に明け暮れる彼らの跋扈を許してはなりません。

野党側は次の衆議院総選挙に向けて準備を急ぎ進めるべきです。衆議院議員の任期満了がすでに来月に迫っています。9月中に自民党総裁選挙で新しい自民党総裁が選出され、その勢いのまま衆議院総選挙が行われたら野党にとって厳しい戦いとなってしまいます。立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新撰組は市民団体の求める政策合意と候補者の調整を進めているわけですが、ほかの野党ともども最後まで手を抜かないで闘ってほしいです。立憲民主党の枝野幸男代表は菅政権を倒したのは自分などと豪語しているようですが、そのような自惚れを言っている余裕などないでしょう。これまでの選挙の結果は菅内閣と政権与党への失望の結果であると捉えるべきで、野党の支持につなげられない時点で状況がとても厳しいと言わざるを得ません。

何より、私たち国民が日本国に生きている当事者として声をあげ、政党や政治家を動かさなければ同じ失敗は繰り返されてしまいます。与党の綱紀粛正を徹底させるのも、野党が政経運営能力を担えるように育てることも国民にしかできません。日本国民が日本国を動かす主権者として、これまでの政治への反省と次の内閣と与野党の監視を続ける必要があるのです。

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